前回までは3C分析とSWOT分析を簡単にお話ししてきました。
実はこの2つの分析の影響範囲は、自社を取り巻く市場に限定されることが多いです。
自社に直接影響を及ぼしていると感じやすい範囲内というイメージでしょうか。
もちろんこれらの分析はとても大切なので、定期的に行っておく必要があります。
半期や四半期など、定期的で構わないですからね。
分析ばかりしていても、企業の成果はもたらしません。
分析はあくまでも正しい意思決定を行う為であり、意思決定をした後は行動あるのみです。
意思決定はあくまでPlan段階です。
意思決定通り確実に実行を行って、判断が正しかったのか、間違いだったのかを検証しましょう。
さて、今回はファイブフォース分析のお話です。
読んで字のごとく、自社を取り巻く5要因に関する力関係を分析するフォーマットです。
その分析は3C分析やSWOT分析で行っていると思われるかもしれません。
しかし、ファイブフォース分析には新たな視点が入っています。
ファイブフォース分析の5要素とは、以下の5つになります。
・競合他社との力関係
・売り手(仕入先)との力関係
・買い手(顧客)との力関係
・新規参入企業の脅威
・代替品の脅威
冒頭にお伝えしたように、3C分析やSWOT分析は市場内での影響力に留まることが多いです。
その分析に加えて、新規参入企業や代替品の脅威を範囲に加えることで、業界外からの影響も視野に入れていくことができます。
事業を10年20年という長期的なスパンで考えた場合、考慮に入れておくべき視点とも言えます。
競合他社や売り手・買い手との関係は、ある程度身近で起こる変化なので実感しやすい部分だと思います。
しかし、新規参入企業の可能性や代替品への移行に関しては、よほど情報の感性を高めていないと気付きません。
例えば飲食店を経営していたとして、最近客足が鈍って売上が少しずつ落ちていたとします。
その原因を自社を取り巻く市場のみで探求し、メニューを変えたり価格を変更したりするかもしれません。
でも、本当の原因はコンビニの総菜や麺類のクオリティが上がり、顧客がそちらに流れていたということが起こり得ます。
これはまさに代替品の脅威です。
自分が飲食業だからと言って、競合相手は同じ飲食業だとは限りません。
「お腹空いたので美味しいものを食べたい」という顧客のニーズを満たすものが全て、自社にとっての脅威となり得るんです。
同じように、新規参入企業についても注意深く観察していかなければ、足元をすくわれることになる可能性があります。
最近ではテスラがトヨタを抜き、自動車産業の中では時価総額でトップに躍り出ました。
経営を永続させるゴーイングコンサーンを実現するためには、市場の中だけではなく、市場の外にも目を向ける必要があるのです。
幹部達が作成するような、PLベースの短期計画ならここまで必要というわけではないんですけれどもね。
しかし、このファイブフォースの中で一番重要な立ち位置を示しているのは、実は売り手との力関係だとも言えます。
このお話はまた機会があったら行いましょう。