Blog

ブログ

お値段据え置き

お値段据え置き

実質値下げという意思決定に潜んでいるのは何なんだろうと思う今日この頃です。

場所は違えど、することやできることはほとんど同じなんだなって感じるひとときだったりします。

昨年に仕込んでいた案件がやっと動けるようになってきて、最終段階へ向けてやり取りが頻繁になってきました。

業者選びで失敗した感はありますが、損失を取り戻そうとはせずに、来ている波を見て赴くままに流れていこうと思います。

昔はそんな風に思えなくて、何かしら失敗や損失が出たら、どうやって取り返そうかとかリカバリーしようかと考えてしまっていました。

その視点はとても大事なのも十分に承知しているつもりですが、まだ立ち上げでふらふらと足元が危ういうちから矢継ぎ早に対策を重ねていくと、ジェンガでチャレンジするみたいに崩れかねないかなと思う慎重でかわいい感じです。

そんなことを言いつつ、虎視眈々とチャンスは狙っているので、行けると思ったら即実行していく準備は整えます。

そんなことを書きつつ、消費税を含めた総額表示の義務化があと一ヶ月を切りましたね。

この10%のインパクトはまぁまぁ大きくて、日々買い物をする消費財であればあるほど消費者の心理を突き動かします。

少し前のブログでスーパーの例を出しましたが、消費税の表示方法だけで客足が目に見えるくらいに変わってきます。

そんな中でユニクロは今まで税抜き表示でしたが、総額表示でもお値段据え置きで対応すると発表しました。

これって結構な決断だったと思います。

消費税は10%ですが、実質的な値下げ幅は約9%になります。

単純に計算をすると今のユニクロの売上高から9%が失われ、それと同額の経常利益も消えてなくなるという意思決定になるんですよね。

簡単に昨期のデータから計算すると、ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングの売上収益は2兆88億円で、営業利益は1493億円です。

さぁ、ここから売上収益の9%が失われるとどうなるか。

2兆88億円の9%は1808億円なので、営業利益から差し引くと赤字の▲315億円

ユニクロ、まさかの意思決定でご乱心!?

と思いきや、そういうわけではなくて、ファーストリテイリングにおけるユニクロの国内売上の比率は40%を切っていて、8729億円なんです。

本当はジーユーなども含めなければいけませんが、国内比率が不明で計算がややこしくなるので除外しますね。

というわけで、消費税に関係する売上の減少は8729億円×9%=786億円で、十分に営業利益ベースで黒字を維持できるということ。

コロナ禍で売上減少が著しかった昨期でもこの数字ですから、今後は十分に利益を確保できる見込みがあると思われます。

単純に同じ販売数だった場合のシミュレーションなので、実際には客数アップや客単価アップ、あるいは固定費の削減といった施策を行うでしょう。

セルフレジやICタグなどによるDX化やECサイトの強化で、結構な固定費削減が可能な気はしますし。

そしてキャッシュフロー的にも、昨期1800億円以上の有利子負債を減らしているので、財務的にも全然余力があることが見て取れます。

この意思決定の裏側には何が見え隠れするかというと、9%の実質値下げが可能なくらい国内需要に期待ができるであろうことと、事業の拡大は国内ではなくて消費税の関係ない海外だということでしょう。

今やアパレル業界では世界3位のファーストリテイリング。

国内で元気がないのは少し寂しい気がしますが、数少ない日本企業として応援していきたいなって思う瞬間です。

記事一覧に戻る