いきなり意思決定をしなさいと言われても大抵の人はできないので、一歩ずつ段階を踏んでいくのも有効な手段となるでしょう。
先日はとあるご縁で福井の会社を見学させて頂きました。
会社見学とはいうものの、物のない綺麗な事務所で昔話に花を咲かせて、在庫が変態的に少ない倉庫を拝見させて頂いたら、まだ明るいうちから駅前でアルコール消毒のお時間です。
わたしが突然「行きたいー!」というわがままを快く聞いてもらって、結構な時間を割いて頂いたのには本当に感謝しかありません。
あれこれと遠慮なしに根掘り葉掘り聞いてしまったのに、嫌な顔もせずに即答していただき、時には記憶を掘り起こしながら真摯に応えてくれる姿を見ると、人は成るべくして成っていくんだなぁと実感します。
その企業は長年トップダウン経営を学んで実践していきましたが、ある時に思い立ってトップダウンを手放して社員の自主性に任せる経営にシフト。
心理的安全性AWARDを受賞するくらいの、自律的組織へと変貌した会社でした。

自律的組織は言い換えるとティール組織とも言えますし、ひょっとしたらティール組織という呼び方が馴染みあるかもしれません。
日本ではまだ浸透していない考え方という感覚で、興味はあるけれども実現までには至っていないという声をちらほら聞きます。
それくらい自立的組織への移行には躊躇しますし、躊躇するだけの理由が山ほどあるのでしょう。
本気で取り組もうと思ったら今までのマネジメントをガラッと変えることになりますし、大きなリスクを想定しても両手では足りないくらいになりますし、最悪は組織が瓦解して会社存続の危機にまで発展する可能性も低くはありません。
そんなリスクを負ってでも組織の変革を行ったのは、会社の未来のためであり、社員の幸せのためであり、自らの想いを実現するためなんだなという印象でした。
困難に立ち向かう一番の必須要因は、そんな社長の想いなんだろうと思います。

そんな想いを実現した自律的組織の裏側には、皮肉にもトップダウン経営の影がいくつも見え隠れしていたのが面白いところでした。
自律的組織と言いながら実は裏ではトップダウン経営をしていました、というわけではありません。
試行錯誤を繰り返して定着させてきたトップダウン経営の仕組みが、自律的組織の運営に大きく関与していた、という表現が正しいでしょうか。
いくら優秀な社員が所属していたとしても、ゼロから組織を構築することはとても大変なことなのは容易に想像がつきます。
ましてや、いきなり自律的組織を目指そうものなら風の強い砂浜で砂城を作るようなもので、その難易度は一気に跳ね上がることは間違いありません。
でも、前もって成果を出していた素晴らしい仕組みが組織にあったのならば話は別で、その仕組みをベースに何を変えるか、何をやめるか、何を始めるかを自律的に考えればいいので、難易度は一気に下がります。
それでも現場社員にとっては大きな変革であることには違いないわけですが、ゼロをイチにするのと、イチをこねくり回して少しずつ積み上げていくのとでは使う資質が全く異なります。
一見、順調に自律的組織へと移行したように見えても、それまで積み重ねてきたトップダウン経営と変化の試行錯誤がなくてはならなかったのです。
そして最終的には「社員が自分たちで意思決定をしていく組織にする」という、経営者の確固たる思想が必要なのはいうまでもないでしょう。
これまでの経験値と新たな学びと経営者の思想のコラボレーション。
自律的組織が生まれた背景には、そんな化学反応があったのがとても興味深い時間でした。
12月にその会社が中心としたMGがあるので、その場で改めて雰囲気を感じ取ってこようと思います。
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