前回は固定費Fの使い方についてお伝えしました。
会社を運営するにあたっては、どうしてもかかってしまう費用なので、内訳については見逃されがちです。
しかし、可能な限りチェックを行って、無駄なFの使用は避けるべきです。
Fを使うともちろん利益Gは下がります。
別な見方で表現をすると、社員全員で力を合わせて稼いだ粗利益MQを消費する行為がFです。
1円を稼ぐ労力は結構なものですが、1円は簡単に消費できます。
この感覚を社員に教育する必要があるのです。
そんな今回は、変動費Vについてお伝えしたいなと思っています。
Vは業態によって存在したりしなかったりしますが、基本的な考え方としてはサービスを提供できるまでにかかる経費です。
そして、その中でも販売数量Qに比例して増える経費を指します。
飲食業や製造業だとイメージしやすいと思います。
例えばラーメンを提供するまでにかかる経費とは、麺やスープや具材にかかった食材費のみとなります。
業界用語ではフードコストとも言うかもしれませんね。
FL比率を指標とする飲食業もあり、FはFood(食材費)、LはLabor(人件費)の略です。
わたし的にはこのLaborという表現は好きではないですが、その話については他の機会に譲りたいと思います。
やっぱりLaborよりもWorkerですよね。
Vも経費ですので、Fと同様に削減をすればGは上がります。
しかし、Fと同じ性質の経費ではないことを理解しておかなければなりません。
Vはサービスの提供に直接関わってくる経費なので、サービスの品質に直結をします。
飲食店では料理の味に直結するでしょうし、製造業や建設業では商品の品質や耐久性に直結するでしょう。
なので、経費削減を目的として、Vをカットすることは避けるべきです。
F2の削減とは違い、サービスの低下は顧客満足度に繋がってきます。
Fを削減することは一番容易とお伝えしましたが、Vも仕入を安いものに変えれば比較的容易に削減は可能です。
ただし、むやみに行うと品質の低下を招き、お客様がスーッと潮が引くように離れてしまう恐れがあります。
今まで美味しい料理を提供していたお店が、食材の高騰で安い食材を使うようになり、明らかに味が落ちた。
今までスタイリッシュな製品を出していたメーカーが、デザインの外注費を削減して、明らかにダサくなった。
そう感じてしまったら、お客様は再度利用してくれるでしょうか。
Vの削減によって一時的にGは上がるかもしれませんが、顧客離れが進んでしまうと長期的には累積のGは下がってしまう可能性が高いです。
Vというのは今の品質を担保している経費であり、PとQを守っている経費でもあります。
戦略的な経費に属するものなので、慎重な意思決定が必要です。