いつ、どのタイミングで何を学んだかによって人の意識や行動はあっさりと変化することもあれば、頑なに過去を踏襲することもあります。
いくら学んだとしても、深く自分と向き合っていかないと活かせない時期が続き、長く思い悩むことになるかもしれません。
そんなことを改めて感じたのは、TOC学会で十年ぶりくらいに再会した方からのお話です。
あらかじめ名簿を頂いていましたが、その時は「どこかで聞いたことのある社名だなぁ」くらいの印象で、わたしが旅すがら参加しているMGでお会いした方かも、と勝手に決めつけていました。
そうしたらご縁とは不思議なもので、十数年前から出会っていた社長さんで、色々と楽しい時間をご一緒していた方だったんです。
わたし自身はまぁまぁ頭から抜けていたのですが、先方からお声掛け頂いて完全に思い出したという流れですね。
恥ずかしい話ではありますが、TOC学会後の懇親会では昔話に花が咲いて、すごくあっという間の時間だったのがわたし的にも嬉しい出来事でした。
その社長さんは何年もイケイケで経営をしてきて、業績を伸ばしてきた方。
新規開拓も自力で行い、工場を拡大して数字の結果もついてきて、まさにできる社長といった手腕を発揮していました。
ただそれもずっと続くわけでもなく、ある時期から落ち込み始めます。
その事実をなかなか受け止めきれなくて、どうしても責任を外に求めてしまっていたのですが、その傾向は数字が落ち込み始めたからではなく、実は絶好調の頃からの慣習でしょう。
数字が良い時は何をやっても自分の成果で、社員に不満があってもついてこれない社員が悪い。
数字が悪くなってきたら周囲の景気が悪いだけで、今の悪い雰囲気が過ぎ去りさえすればまた良くなると心の底から信じていたそうです。
いわゆる他責で経営をしてきたような感覚かもしれません。
もちろん、その考え方でうまくいくはずもなく、よかった時はなんとか持ちこたえていた社員達も愛想が尽きはじめ、どんどんと退職をしていったそうです。
それでもどん底まで行ってしまうのが人間の性で、まぁまぁ窮するところまで来た時に自分と心底向き合う機会に恵まれました。
ひょっとしたら、自分の行動や言動がすべてを引き起こしているのかもしれない。
この事実に気付き始めて、やっと色んな事が少しずつ動き始めたと実感できたそうです。
そしてある時TOCに再会し、幹部4人と一緒に参加をしたところ、その幹部達が見事なブレイクスルーを果たすことになったのです。
この気付きの順番がとても大切で、社長が今まで完全に他責だったことと自責の大切さに気付いていなかった場合、たとえTOCに再会したとしても同じ失敗が繰り返されていたことでしょう。
わたしがTOC学会で発表させて頂いた企業もほぼ同じ道を辿っていて、自分と向き合った後に環境整備と出会って会社が変わっていったとお聞きしました。
今回の社長はTOCで花開いたのですが、自分と向き合った後に出会ったのがMGでも環境整備でもトヨタ生産方式でも船井総研でも同じ可能性があります。
何かを学ぶとき、今までと同じ心持ちでは同じ結果しか生まれないかもしれません。
上手くいかない時ほど、実は自分と向き合うことがとても大切なのでしょう。
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