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次の有料化は

次の有料化は

うわべだけの施策はすぐにボロがでます。目的を見失わず、明確な数字の変化を提示できる施策も行うことが大切です。

プラスチックスプーンが有料になる方向みたいですね。

昨年の7月1日からレジ袋が有料になって、最初は戸惑いを感じることもあったでしょう。

いちいち「袋はいりますか?」と確認を取られるのが煩わしいと感じながら、それでも今となっては当たり前の光景になってきたのではないでしょうか。

変化する時はちょっと戸惑うけれども、慣れてしまえば平常運転というのがわかる瞬間ですが、さて今度はプラスチックスプーンも対象となります。

そもそもレジ袋がなぜ有料になったかというと、目的は「環境問題解決のきっかけ」になることだったはずです。

身も蓋もないことを言ってしまうと、日本国内からレジ袋が1枚もなくなったとしても環境は改善されません。

それは日本国内のプラスチックごみの中でレジ袋が占める割合というのは、わずか1.7%に過ぎないからなんです。

仮にレジ袋が1枚もなくなったとしてもレジ袋に代わるものを作るでしょうし、マイバックを使ったとしてもマイバックを生産したり、マイバックを洗う洗剤も消費します。

レジ袋ゼロで1.7%を削減したとして、果たしてどれくらいの効果が望めるかは期待できないでしょう。

現実にはレジ袋が有料化になったからと言って使う人がゼロになるかというとそんなこともなく、わたしも結構な頻度でレジ袋を買っています。

中には100均のビニール袋の売上が伸びているという話もありますし、実質的に生産量も消費量も大きく減ったとは言い難いかもしれません。

環境に対する影響は極めて小さいと言えますよね。

それにも関わらず、レジ袋を有料化にしたのは環境問題に国民の意識を少しでも向けさせるためであり、環境について考えるきっかけを与えることなのでしょう。

この施策についてはある程度の効果を発揮して、世界が大好きなSDGsを知るきっかけになった人もいるのではないかと思います。

人の意識改革によって、プラスチック原料という製品を意識づけることで大きな改革に乗り出すことが1つの目的であり、レジ袋有料化はその手段の1つのはず。

でも、その手段を拡大解釈して新たな制限をしようという施策に走ったんだなぁって、今回のプラスチックスプーンの有料化で感じるところです。

よく手段の目的化と言いますけれども、やっていること自体を重要なことと感じてしまうことはよくあります。

レジ袋有料化はとても大事な施策だから、レジ袋だけに留めておくわけにはいかない、他のプラスチック製品にも範囲を広げよう

そんな目的を見失った、安易な施策は求心力を失うきっかけにもなり兼ねないのが世の受け止め方だと思っています。

【分析思考】×【目標志向】のわたしとかはそれが顕著で、何のためにやっているのか、どんな効果が出るのかがすごく気になるんですよね。

人が行動を変える動機は色々とあれど、成功体験を提示すること、成功体験を経験させることが手っ取り早かったりします。

もし二酸化炭素の排出を大きく減らすのであれば、火力発電所の稼働を減らすことが一番効果が出やすいんです。

日本の二酸化炭素排出量のうち、1/3を占めるのがエネルギー転換部門であり、そのほとんどが化石燃料を燃やして発電をする火力発電です。

企業でも当てはまるのですが、経費削減として一番に手をつけなければならないところは、一番多くの経費を使っている所です。

コピー紙の裏紙を使おうとか、電気をこまめに消そうという施策は意識改革に留まり、政府のレジ袋有料化と同様に経費削減の数字にはほとんど表れてきません。

それよりも大きく広告費を使っている企業だったら、無駄な広告はないかを検証して、効果の薄い広告を削減する。

大きく運賃を使っている企業だったら、効率よく配送をするようにルートや発送方法を変えられないかを検証して、配送の回数を削減する。

意識改革はもちろん大事ですが、同時並行して効果が目に見えてわかる施策も行うことで意識改革がより早く進む要因になり得ます。

こんなに成果が出て変わってきているんだから、自分たちも取り組んでいきたい。

そんな気持ちになる成果を示すことも、とても大切なんです。

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