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サービスアパートメント

サービスアパートメント

帳簿に乗らない資産はたくさんありますが、一番は社員と組織文化が会社の資産としての価値が光ります。

帝国ホテルが30泊36万円のプランを打ち出して、人気を博しているそうですね。

わたしには全く無縁なサービスになるのですが、それなりの収入があって時間を確保したい層にはとても魅力的なサービスに映るでしょう。

1ヶ月36万円で家賃・水道光熱費・駐車場・Wifi環境の他に、ラウンジやスポーツジムの利用や朝食も含まれます

仮に1年間住み続けたとしても432万円で一通りが揃う。

さらにはオプションでクリーニングやルームサービスもサブスクリプションでつけられるとあって、わずか数時間で全99室が完売になりました。

面白いですね、それだけの需要が国内にあったということでしょう。

すぐに売り切れてしまったので、その権利を手にしたのは意外にも個人事業主も多かったようですね。

ホテル御三家と呼ばれる格式高い帝国ホテルがこのプランを打ち出したのには、やっぱりコロナ禍における売上の激減にあります。

売上で66%ダウン、稼働率でいうと10%ほどになったということなので、この一年間は人の出入りすらも激減したのが伺えます。

基本的にホテル業の変動費はそれほど高くなく、素泊まりに至っては微々たるモノ。

売上の減少がもろに利益の減少へと結びつきますから、客数の減少は大打撃です。

この辺り飲食業とは異なっている点で、飲食業は変動費として食材の仕入れがあります。

客数の減少に伴って、この変動費も基本的に減少するので、客数の減少に合わせて一部の経費も一緒に減少していくことがほとんどです。

本来は来てくれるかもしれないお客様に備えて食材を用意しておかないといけませんので、売れなければ腐敗による破棄などが生じて変動費が減らない場合もあるとは思いますが、今回は考慮しません。

そんな飲食店に時短営業協力金として1日6万円も支給されるのは、営業するよりも大きな利益を生んだりしますが、今回は別な話なので置いておいて。

ホテル業にとっては苦境も苦境、社長は頭を抱えることになる状況でした。

こんな苦境の際に何をしたかというと、事態を打開するために全社員からアイデアを募集しました

帝国ホテルの何が強いかというと、ホテル御三家と言われている名声でも、100年以上続いている歴史があることでも、立派で豪奢なホテルを所有していることでもありません。

このアイデア募集に5,500件以上ものアイデアを社員が出してくれている点でしょう。

もちろんすべてが良質で効果的なアイデアかというと、そんなことはあり得なくて、玉石混淆な上にほとんどは効果が薄いか使い物にならないアイデアであることは間違いありません。

しかしこの5,500以上のアイデアの中に、サービスアパートメントもあったということなんです。

企業の運営は基本的にトップ層の取締役が方針を決定することが多いなのが実情です。

それでも強力なリーダーシップで引っ張っていく人もいるでしょうけれども、少数の取締役のみだといずれ限界を迎えますし、急激な環境の変化に対応しきれないかもしれません。

そんな時に心強い味方が社内に何人もいるのですが、さて苦境に陥った時にすぐに助けてもらえるような環境かどうかがとても大切になってきます。

今回のように新しいアイデアが欲しいとなった時、実は普段から何かできないかと考えていなかった場合、すぐに実用的なアイデアなんて出てきません。

アイデアは普段からの情報収集と現状の環境との組み合わせです。

それを実現している素敵な社員さんと職場環境が、一番の宝物なんだなって思う瞬間です。

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